AIが声優の声を再現することについて考えた
先日、ニュースを見ていて、声優さんたちがAIによる自分たちの声の利用について、ガイドラインを発表したという話が目に入りました。
自分たちの声をAIで再現し、アニメや動画などに利用する。
そうしたことに対して、声優さんたちが懸念を示しているという内容です。
その気持ちはよくわかるんですよね。
これまで長い時間をかけて技術を磨き、仕事として声を届けてきた人たちがいます。
その人たちの声をAIでそっくり再現し、本人の知らないところで利用したり、本人の仕事を奪うような形になったりしたら、嫌だと感じるのは自然なことだと思います。
声優さんたちへの敬意が足りないんじゃないか。
そんなことも考えてしまいます。
AIを使うこと自体が悪いわけではない
もちろん、僕はAIを使うこと自体が悪いと言いたいわけではありません。
これからは、AIを使ってアニメーションを作ることも、普通になっていくと思います。
最初から人間の声優さんを起用するのではなく、AIで音声を作り、それに合わせてアニメーションを完成させる。
そういう制作方法が出てくるのも、自然な流れなのかもしれません。
新しい技術を使うことで、これまで個人では難しかった作品を作れるようになる可能性もあります。
それは、それで一つの新しい表現方法だと思います。
ただ、僕が気になるのは、今まで活躍してきた声優さんの、誰もが聞き覚えのある声をそっくり再現して利用することです。
新しくAIで声を作ることと、実在する声優さんの声を再現して使うこと。
この二つは、分けて考える必要があるんじゃないでしょうか。
声というのも、その人が仕事を通じて築いてきた大切なものの一つです。
それを技術的に再現できるようになったからといって、自由に使っていいという話にはならないと思うんですよね。
ものまねとAIは同じなのか
この話になると、ものまね芸人さんはどうなんだ、という疑問も出てくるかもしれません。
でも、僕は、そこもちょっと違うと思っています。
人が練習を重ねて、声の特徴や話し方を研究し、自分なりの表現としてものまねをする。
それと、AIを使って声を再現することは、僕の中では少し違うんです。
もちろん、ものまねにもいろいろなケースがありますし、AIにもさまざまな使い方があります。
本人や関係者が認めている場合もあれば、そうでない場合もあるでしょう。ものまねだから何でも許される、ということでもありません。
ただ、人が技術を磨いて表現することと、機械によって本人そっくりの声を生成し、利用することでは、考えるべき問題が違うように感じます。
どこまで認めるのか、どこから問題になるのか。
一律に線を引くのは難しいのかもしれません。
ルールを作れば解決するのか
こうした問題は、今後もいろいろと出てくると思います。
最初からルールをきちんと決めておかなければ、あとで揉めることになる。
かといって、細かくルールを作ったとしても、想定していなかった使い方が出てきたり、解釈の違いが生じたりすることもあるでしょう。
結局、実際に問題が起きたときに、一つずつ解決していくしかない部分もあるのかなと思います。
ただ、問題が起きてから対応すればいいというのも、簡単な話ではありません。
声を利用された側にとっては、すでに仕事に影響が出ているかもしれないからです。
できることなら、問題が起きる前に、本人の意思や権利を尊重する仕組みを考えておいてほしいと思います。
技術が進歩することと、それを使う人の意識が追いつくこと。
この二つは、必ずしも同じ速度では進まないんでしょうね。
他人が積み重ねてきたものへの敬意
今回のニュースを見て、改めて考えたのは、他人が積み重ねてきたものへの敬意についてです。
便利な技術を使うこと自体は悪くありません。
効率よく作業をしたり、時間を節約したりするために道具を使うのは、ごく普通のことです。
ただ、その結果として、ほかの人が長い時間をかけて身につけてきた技術や、築き上げてきたものを軽く扱うことになってしまうのは、違うんじゃないかなと思います。
自分で努力して、工夫して、何かを作り上げる。
それなら、たとえうまくいかなかったとしても、そこには自分なりの価値があると思うんですよ。
一方で、機械に任せて他人の声を再現し、それを自分のコンテンツとして利用する。
そのとき、元になった人の権利や気持ちを考えているのかどうか。
そこが大事なんじゃないでしょうか。
もちろん、これは僕個人の考えです。
AIを否定したいわけでも、新しい技術を使うなと言いたいわけでもありません。
ただ、便利だから、簡単だからという理由だけで、何でもやっていいわけではないと思うんです。
その技術を使うことで、誰かが困ることにならないか。
誰かが積み重ねてきたものを、ないがしろにしていないか。
そういうことは、少し考えてみてもいいんじゃないかなと思います。
AIによって、これまでできなかったことができるようになるのは、面白いことです。
だからこそ、技術の進歩だけを見るのではなく、それを使う人間の側も、きちんと考えていく必要があるんでしょうね。

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